Vol. 17 エリザベス1世
ジュエリーへの情熱をもったイギリスの女王
エリザベス1世(1533-1603)は国王ヘンリー8世と2番目の王妃アン・ブーリンの娘で、イギリスで最も偉大な君主の一人です。当時弱小国家だったイギリスを政治、経済、芸術においてヨーロッパの中心的存在にしました。エリザベスはイギリスの歴史に華やかにしただけでなく、王家の宝石コレクションを立派なものにしました。
ヘンリー8世も宝石が好きでしたが、エリザベスのジュエリーへ情熱は絶大なものでした。女王はあまりにも多くのジュエリーを身に着け、ガウンにはあまりにも多くの宝石が縫い付けられていたので、その重さにどのように耐えられたのか不思議なほどでした。
賢い交渉と権力をもってして、スコットランド、ポルトガルやバーガンディーの王家のジュエリー・コレクションから、素晴らしいものを獲得していきました。
エリザベスを誹謗・中傷するものたちは、彼女が正当な王位継承者であるかについての議論を熱く戦わせました。多くの者はヘンリー8世と2度目の王妃の結婚が無効であると考えたからです。エリザベスのライバルだったスコットランド女王メアリーが転覆を企てたとき、彼女を処刑し膨大な個人コレクションのジュエリーを我が物とします。
エリザベスはプロテスタントを国の正式な宗教とします。1588年にはスペイン無敵艦隊の侵攻を受けますが、アルマダ海戦で勝利を収め、イングランドはスペインに代わって世界貿易を一手に握るようになりました。
エリザベスは生涯独身でした。チューダー王朝は終焉を向かえ、イングランドはスチュワート王朝に取って代わられました。彼女が残したものの中で特記すべきものと言えば、それは彼女の愛して止まなかったもの「ジュエリー」でしょう。