Vol. 2 キャロル・チャザム (1914-1983)
<<宝石用合成エメラルドを開発した化学者>>
キャロル・チャザムが宝石の合成実験を始めたのはまだ高校生の頃でした。サンフランシスコの自宅地下を研究室にして、ダイヤモンドを合成しようとしたのですが、爆発を起こし、怖くなった隣人たちは警察を呼んだほどでした。
その後、1929年からエメラルドの合成の研究に着手し、6年後には合成エメラルドの生産に成功。品質向上するためには更に数年を費やしました。
1938年にはカリフォルニア工科大学を卒業し、第二次世界大戦の間、デルモンテにて食品合成の研究に従事しました。戦後、チャザムは自身の合成石を世に広めるつもりでしたが、世間はまだその準備ができていませんでした。
心配になった商人たちは、隣人たちのように、法に訴えました。チャザムはその後15年間を宝石業界と役人との戦いに費やしますが、結果的には、高品質の合成石で業界と消費者の関心を得ることに成功します。
たゆまない研究とマーケティングを通して、チャザムは高級合成石の生産者として大成功を収めます。引退後、彼の設立した会社「チャザム・クリエイティド・ジェムズ」は息子たちに引き継がれ繁栄しつづけています。