Vol. 17 ピッティ宮殿・銀器博物館
ピッティ宮殿・銀器博物館(イタリア、フィレンツェ)
Museo degli Argenti, Pitti Palace, Florence, Italy
フィレンツェのピッティ宮殿は世界最高の絵画ギャラリーとして有名ですが、宮殿には銀器博物館もあります。この博物館には銀製品だけでなく、天然石の彫刻、ジュエリー、宝石装飾された宗教物なども所蔵されています。
歴史的に最も意味のあるものは、イタリア・ルネッサンスの芸術振興に寄与したフィレンツェのメディチ家が所有していたものです。銀器博物館にある作品は強大な権力を持っていたメディチ家が収集したもののほんの一部にしかすぎません。
メディチ・コレクションの一部にはカップ、ボウル、その他の彫刻などです。ローマ時代に様々な種類のカルセドニーから作られたこれらの作品はルネッサンスのアルチザン(職人)の手によるものです。
博物館の所蔵品の中には16世紀や17世紀の宝石研磨が見られるものが多数あります。これは精巧に彫刻されたロッククリスタル、ラピスラズリ、カルセドニーをエナメルや宝石でアクセントを付けた金属の枠にはめたものです。これの一つはメディチ家の法王、クレメンス7世が、カトリーヌ・ド・メディチとアンリ2世の結婚に際して作らせた「箱」です。これはロッククリスタルに新約聖書のシーンが彫刻されたものが銀とエナメルの枠にセットされたものです。
博物館のジュエリーには16世紀や17世紀のブローチやペンダントもあります。バロック真珠の形を利用して動物の胴体や神話の生物などにしているもので、土台はエナメル、ダイヤモンドなどの宝石で飾られています。