Vol. 9 アルバート・マンセル
宝石の色の表現に使われる「表色系」の開発者
アメリカの画家、美術教育者であったアルバート・マンセルは美術を科学という分野と融合させ、双方の分野に多大な貢献をした人物です。
1858年、ボストンに生まれたマンセルは幼少の頃から芸術的才能を見せます。マサチューセッツ州立芸術大学卒業後には母校の講師となり、その後、奨学金を得てパリの芸術大学に留学、構造分析・遠近法・構図の分野で表彰されカトリーヌ・ド・メディチ奨学金を取得しローマで学びます。
帰国後、色彩表示についての研究を開始。色の組成を始めは「円」で表現し、その後、「球体」に進展させます。
マンセル・カラー・システム(Munsell color system)は、色の3属性(色相・明度・彩度)に基づいた色彩を表現する体系(表色系)の一種です。色という概念を系統的に扱うため創り出された体系です。色の名前の付け方が曖昧で誤解を招きやすいことから10進数を使って合理的に表現したいと考え、このシステムを完成させました。
1905年にその成果を「Color Notation」(表色)という本で発表しました。その後1943年アメリカ光学会(OSA)が視感評価実験による修正を加え、これが現在のものとなっています。マンセルの新版書籍「Munsell Book of Colors」は現在でも使われています。
表色系は各種ありますが、マンセルの表色系は美術、デザイン分野でよく使われ、宝石の色を表現するにも、これが使われています。