Vol. 15 オーギュスト・ベルヌイ
合成石を発明したフランスの化学者
オーギュスト・ベルヌイ(1856-1913)は、若い頃から父親の写真スタジオで現像の手伝いをするうちに化学への興味を持つようになりました。
17才でパリ自然史博物館、化学研究所のフレミー教授の助手となります。その頃一緒に働いていたアンリ・モワサンはノーベル賞受賞の化学者です。ベルヌイは夜学に通い、1886年に科学での博士号を取得し、その後、応用化学の教授となります。
ベルヌイは短期間フレミー教授とコランダム(ルビーやサファイアの鉱物名)のフラックス製法について研究しますが、その後、フレームフュジョン法によるコランダムの合成に成功します。彼の開発したこの製法で作ったルビーは色も透明度も素晴らしい上にジュエリーに使うのに十分な大きさがあるものでした。
1904年にはこの製法についての本を出版し、技術だけでなく、ベルヌイ法による合成ルビーと天然石との見分け方も解説しました。その後すぐにこの製法は合成石の大量生産に使われるようになりました。今日ではベルヌイ法で生産された合成コランダムは、工業製品のベアリング、研磨剤、機械時計のパーツなどに使われています。また、ベルヌイ法が応用されたものにはレーザーがあります。
ベルヌイはその後、歯科充填剤や光学機器用のガラスなどの研究開発に携わりました。
ジュエリーに携わる人々はベルヌイを「合成ルビーの父」と尊敬の念を込めて呼んでいます。