Vol. 16 ヨハン・ウォルフガング・フォン・ゲーテ
偉大な文学者は鉱物にも精通した科学者だった
ゲーテ(1749-1832)はドイツの偉大なる詩人で、世界を代表する文学者のひとりです。彼は「最後のルネッサンス人」と称され、作家、批評家、記者、画家、劇場支配人、政治家、教育者、科学者、哲学者として多彩に活躍しました。彼の著作は科学に関するものだけでも14にものぼります。
ゲーテはドイツのフランクフルトに生まれ、ライプチッヒとストラスブール大学で法律を学びました。文学、医学、彫刻などに興味があったため、法律の勉強にはあまり身を入れませんでしたが、1771年に法律の学位を取得しました。その後、ザクセン・ワイマール公、カール・アウグストの王立裁判所に入り、友人とアドバイザーとして活躍します。
「ファウスト」は彼の著作の中でも最高傑作といわれていますが、ゲーテは詩人としての名声を得ていた一方、素人の科学者とみなされることに不満を持っていたようです。彼の科学に関する著作は方法論から色彩論理の研究にまで及んでおり、こういったものをもっと認めて欲しかったのです。彼の知識は物理、地学、鉱物学、気象学、動物学、植物学にまで及びました。
その中でも特にゲーテが強い興味を持っていたのが鉱物でした。彼は貪欲な鉱物のコレクターで18,000個もの鉱物標本を集めたそうです!多くの鉱物に関する形成、成長、結晶の大きさなどに関する理論など、詳しい記述を残しています。
「ゲータイト」という鉱物はゲーテにちなんで1806年に名づけられています。