珊瑚(さんご) Coral
和名: 珊瑚(さんご)
モース硬度: 3.5~4
主な産出国: フィリピン、オーストラリア、日本、台湾
宝石言葉: 長寿・幸福・厄除
誕生石: 3月
三月の誕生石はアクアマリン、ブラッドストーン、珊瑚ですが、珊瑚は日本だけの誕生石です。珊瑚はサンゴポリプという小さな下等動物が作る枝のような石灰質からできています。有機物ですので「鉱物」ではありませんが、真珠とともに二大有機宝石として世界中で愛されています。
珊瑚には、たくさんの言い伝えがあります。太古の昔には薬として使われ、粉々に砕いて水かワインに混ぜたものは様々な病気を治すと信じられていました。珊瑚は災いを防ぎ、知恵を与え、流血を止め、熱を下げるとも言われていました。
溶かした蝋の中で珊瑚の枝を熱し、アルコールに浸したものは「珊瑚チンキ」と呼ばれ、これによる発汗と利尿作用が、体から不機嫌を追い出すと思われていました。
古代ローマ人の子供たちは危険回避のために珊瑚を身に着けていました。現代でもイタリアでは珊瑚は悪魔の目から身を護る宝石とされています。
赤珊瑚は身に着けた人の健康状態によって色が変わると思われていました。ある16世紀のドイツ人医師は病気になりはじめた患者がしていた赤珊瑚のネックレスが白く変化し、その後、黄色く変色し、死が近づくと黒いしみで覆われたと記述していました。
8世紀頃まで珊瑚の主産地は地中海で、中国を経由して日本にもたらされ、珍重されたといいます。桃太郎の童話に、鬼退治で得た土産品に金銀に混ざって珊瑚の絵が描かれています。また「金銀珊瑚綾錦」とも歌われていますね。珊瑚は「財宝」とされていたわけです。17世紀(江戸時代)になると、土佐(高知)沖で赤い珊瑚が発見され採取されるようになり、簪(かんざし)や帯留といった「和」の宝飾品に細工され高貴な女性たちのおしゃれ心をくすぐる宝石でした。
珊瑚は、語呂あわせしやすい言葉で、例えば、三五と理解して「結婚35周年の記念宝石」とされていますし、「産後」と読んで「産後の肥立ちがよいように」出産のご褒美の宝石として贈られることもあります。珊瑚の宝石言葉は「幸福」「長寿」「厄除」。日本人の生活に深く結びついているのですね。