スピネル Spinel
鉱物名: スピネル(尖晶石)
モース硬度: 8
おもな産出国: スリランカ、ミャンマー、パキスタン、カナダ
宝石言葉: 安全
スピネルは美しく耐久性があり宝飾品として長年使用されてきていますが、間違って鑑定されることの多い宝石でした。色のバラエティーと産出される場所が重なるために特にルビーとサファイアと混同されることが多いです。過去には「バラスルビー」や「スピネルルビー」と呼ばれていました。
スピネルは透明なものから不透明なものまであり、色調も様々です。 です。その他の色として知られているものは、紫、ピンク、オレンジ、ブルーなどです。緑もありますが、通常は魅力的な色でなく不透明です。
変色効果のあるスピネルは、とても希少性のある宝石です。 自然光ではグレーがかったブルー、人工光では紫になります。スタースピネルも見つかることがあります。
古代には、スピネルは超自然もしくは医療的な力を持つものとされていました。他の赤い宝石と同じく、赤いスピネルは止血や炎症を抑えること、怒りや不和を抑えることに使われました。
361カラットの「チムールルビー」と呼ばれるスピネルは、1398年にタタール人の覇者チムーレンがデリーを征服したときに手に入れ、その後、コイヌールダイヤモンドの所有者が他の3つの大きなスピネルと一緒にネックレスにしました。1849年に東インド会社がそのネックレスを取得し、現在はバッキンガム宮殿に収蔵されています。
約170カラットの「ブラックプリンスのルビー」と呼ばれるスピネルは、1367年にグラナダ(スペイン)王の宝物のひとつでしたが、その後、カスティル王のドン・ペドロの手に渡りました。ペドロがウェールズ王であるエドワード(別名ブラックプリンス)にこの宝石を贈ったことにより、このスピネルが「ブラックプリンスのルビー」と呼ばれるようになりました。
この宝石が英国王室に渡ると、ヘンリー5世は1415年のジャンクールの戦いのときにかぶったヘルメットに付けて、戦いに大勝しました。
1653年のコモンウェルスのときに、オリバー・クロムウェルは王室の宝物を売却するように命じましたが、この宝石の価値をたったの4ポンドとしていたのには驚きです。今日では「ブラックプリンスのルビー」は英国の王冠にセットされています。