Vol. 30 ジーン・シュランバーゼー(1908-1987)
ティファニーの「ニュールック」を代表するジュエリーデザイナー
フランスに生まれたジーン・シュランバーゼーは第二次世界大戦中にアメリカに移住し、ニューヨークの五番街にジュエリーのお店を開きます。1955年にティファニーが彼の会社を吸収してからは、ジュエリーデザインに集中するようになり、上品でありながら目立つジュエリーを求める新興富裕層のために素晴らしいカスタムジュエリーを創作しました。
シュランバーゼーは顧客の一人一人に似合うようなジュエリーをデザインしました。新しい顧客がやってくると、彼はその人に完璧に似合うものを創り出すために、その人の好み、ライフスタイル、迷信、身体的特徴などを徹底的に研究しました。
彼のデザインに使われている、天使、鳥、花、タツノオトシゴ、ヒトデなどの自然のモチーフはバロック的な豊かさとモダンなフォルムを併せ持っています。また、彼はエナメルのジュエリーを復活させました。シュランバーゼーのゴールドにエナメルのブレスレットとイヤリングは1950年代に最も人気のあったステイタスシンボルです。
数多ある有名なシュランバーゼー作品の中でも最高と称されるのは、ペガサスのピンです。これには、エメラルド、アメジスト、ダイヤモンド、ゴールドが羽のある伝説の馬が飛び立つ様子を表現しています。シュランバーゼーは20万ドル~50万ドルもする宝石に彩られたボックスもデザインしました。
シュランバーゼーは1970年代半ばまでティファニーで活躍し、1987年に80歳でこの世を去りました。