Vol.40 アレクサンドル3世(1845-1894)
最初のインペリアル・イースターエッグをファベルジェに注文
アレクサンドル3世は1881年から1894年までロシア皇帝として在位しました。農奴解放などで「解放皇帝」と知られていた彼の父親とは異なり、徹底的な抑圧政策をとる専制君主でした。内政面では政府の規制を強化し、専制君主制に敵対するすべての者を排除するなどの反動政治を行いました。
また、アレクサンドル3世はロシア国粋主義とロシア正教への擁護でも記憶されています。
1884年に皇帝はカール・ファベルジェに最初のインペリアル・イースターエッグを注文しました。この素晴らしい作品は名金細工師でありジュエリー作家であった彼のトレードマークとなります。精巧に装飾された金と白いエナメルでできた卵は皇帝から妻への贈り物でした。これが認められたことで、ファベルジェは毎年新しい卵を創りました。ファベルジェはロシア皇室御用達となり、世界的名声も得ることになります。その後10年間に渡り、アレクサンドル3世はファベルジェにそれぞれがユニークな11個の装飾イースターエッグを注文しました。
彼の息子であるニコラス2世はこの伝統を引き継ぎ、1895年からロシア革命で皇室が亡くなる1917年まで母親や妻にファベルジェの卵を贈りました。