Vol. 45 女帝エカテリーナ(1729-1796)
ロシアの女帝エカテリーナ2世はダイヤモンドを愛することがどれだけ富と権力と共にあるかを示す良い例です。エカテリーナは14歳でロシア皇太子の結婚相手に選ばれました。この結婚は見せ掛けのもので、即位後すぐに彼女の夫は彼女を追放しようとの陰謀をめぐらしますが、エカテリーナは自分を支持する近衛隊やロシア正教会を背景に、宮廷革命で夫を退位させ、女帝の地位につきました。
エカテリーナは教会の財産を国有化させることでロシアの宝物を豊かにし、ロシアを大国へと導くことになる再生、教育、領土拡大の方針を設定しました。長期に渡る彼女の統治の間に20万平方マイルの領土が併合されました。
エカテリーナはダイヤモンドとジュエリーの偉大なるコレクターで、ロシア王室の宝物は3倍にもなりました。彼女の即位のために作られた王冠は重さ5ポンド(約2.5kg)で4,936個のダイヤモンドがセットされたもので、ヨーロッパに存在するもののなかで最も高価な装飾品といわれていました。
彼女の愛人であったグリゴーリ・オフロフ伯爵は、彼女が別の愛人を作ってしまい、その寵愛を取り戻そうと「オルロフ・ダイヤモンド」を贈りました。エカテリーナはオルロフに宮殿を与えましたが、寵愛が戻ることはありませんでした。後年、彼女は以前の恋人であった軍人ポチョムキンと統治上のパートナーとなりました。独善者でうぬぼれが強かったエカテリーナは、死ぬまで、権力、快楽、そしてダイヤモンドへの情熱を追い求め続けました。