Vol. 5 クレオパトラ (紀元前69-30)
真珠を飲んでしまった!エジプトの女王
ローマ帝国の征服者にも国民にもクレオパトラの名前は恐れと嫌悪を覚えさせたものです。
クレオパトラはプトレマイオス7世の次女で、紀元前323年~31年までエジプトを統治したマセドニア王国の最後の支配者です。彼女の名前が有名になったのはローマとのつながりからです。ジュリアス・シーザーとアントニウスの心を射止め、ローマの歴史上で決定的な役割をになうことになりますが、彼女の政治的キャリアは失敗に終わり、最後は国民からの恥辱と処罰を避けるために自殺しました。しかし、クレオパトラは、シェイクスピアやバーナード・ショーのような偉大な作家たちにより「偉大な恋人」として普遍化されました。
「ナイルの女王」は、欲深く、浪費三昧な生活ぶりと、ロマンスのための征服欲で悪名高く、贅沢を尽くした金やジュエリーを愛したことも伝説となっています。
アントニウスのために催した宴会での有名なエピソードがあります。クレオパトラはアントニウスに未だかつて無いほどの贅を尽くした宴会を開いてみせると豪語し、二人はそれができるかどうかの賭けをしました。翌日の晩餐会は素晴らしいものでしたが、アントニウスが今までに毎夜のように過ごしてきたものとほとんど変わらなかったため、自分の勝利を宣言しようとしたその時、クレオパトラは微笑みながら侍女からビネガー(酢)の入ったワイングラスを受け取り、その中に世界に二つとない最大級の真珠のイヤリング(一国の領地を買えるほどの価値あるもの!!!)のひとつを投げ込み、ゆっくりとグラスを揺らして真珠を溶かすと、飲み干してしまったのです!
言葉に詰まったアントニウスの前で、クレオパトラはもう片方の真珠のはずしてアントニウスに同じことをするようにと薦めたのですが、ここで審判が押しとどめて、この賭けはクレオパトラの勝利となったそうです。